最高品質の印刷技術『ジークレー』とは?デジタルアートの価値を高める印刷技術

デジタルアート

「ジークレーって何?」

画家や写真家をしている人なら、一度は聞いたことがある『ジークレー』という言葉。だけど実際に、どんな版画なのか理解できていない人も多いんです。

そこで今回は『ジークレー』についてお話しします。

ジークレーを使って版画をつくるメリットや効率的にアート作品を販売する方法について触れていきたいと思います。

とくに、これからデジタルアート作家や写真家を目指す人にとって役に立つ情報となるので、ぜひ最後まで読んでください。

【今回の記事のポイント】
・ジークレーを使うことでデジタルアートを効率よく販売することができる。

ジークレーとは

ジークレーとは、デジタル作品の色を限りなく再現することができて、主に画家や写真家が作品を印刷する際に使われる印刷画技術です。

最近の印刷会社では、ジークレー専用のプリンターを取り入れている企業も多くなってきました。

ジークレーの用途は、原画の質感を再現するためや、作品販売を効率化するために利用されることが多く、デジタルアートに限らず、手描き作品の版画にも利用されるようになりました。

ちなみに、ジークレーのスペルを調べると『Giclee』と書かれていて、そのまま読むと『ジクレー』となりますが、『ジークレー』と読んでも間違いではないので、ここでは『ジークレー』で統一しています。

ジークレーの特徴は、RGBのインクを使った特殊なインクジェットプリンターで吹き付けて印刷するところ。

とくに、RGBを使ったデジタルアートや、撮影した写真をアート作品として仕上げる場合、光の再現性が高いのでモニターで見る色に近い質感で印刷することができます。

ジークレーとポスターの色の規格の違い

そもそもジークレーの印刷は、通常のポスターの印刷と色の規格が違います。

ジークレーはRGBのインクを使い、ポスターはCMYKのインクを使います。

RGBは色が鮮やかに出ますが、CMYKはパソコンのモニターで見るより少しくすんでしまいます。

よく「パソコンの画面ではビビットで綺麗だったのに印刷をするとくすんでしまう」と思うことはありませんか?

これは、一般家庭のプリンターがCMYKのインクで印刷されているからなんです。

色を比較してみよう

たとえば、僕が撮影した青空の写真を、わかりやすくRGBで印刷した場合とCMYKで印刷した場合の比較をしてみました。

まずは『CMYK(色の三原色)』で印刷すると、このような色になります。

CMYKだけで見るとわかりにくいですが、青い空が少しくすんでいますが、目が疲れるほど光が強くないので、広告やポスターなどの印刷に向いています。

ちなみに、フライヤーやポスターは一般的にCMYKの色規格で印刷されています。

RGBで制作した写真

次に『RGB(光の三原色)』で印刷した写真がこちら。

CMYKの色の出方と比べると、鮮やかな色味が再現されています。

写真を見ていると、その場所にいるかのような感覚になるので、個展に出展したり部屋に飾る写真にする場合にはオススメです。

ちなみに、RGB専用のプリンターは一般向けとしての販売ではなく、オフィス用や印刷業者専用となるため、高額になってしまいます。

1つだけを見るとその違いがわかりにくいので、2つを並べてみるとこのような感じになります。

左のRGBの方が色が鮮やかで、明るく感じませんか?

これが、ジークレーとポスター印刷の色の違いです。

ジークレー印刷の価値

ジークレー印刷を利用する価値は、率直にいうと、色の再現性の高さと納品までの期間を短縮できるところです。

ジークレーは色の再現性が高い

リョウ デジタルアート ジークレー版画

僕は以前、予算の関係で格安の印刷サービスで、デジタルアートを印刷していました。ですが、ジークレー印刷は格安印刷とは質が違います。

たとえば、格安のポスター印刷で仕上げた場合、どうしても細かな部分が荒くなってしまうし、色の再現性も低くなってしまいます。

その点ジークレーは、大きなサイズで印刷しても細かな部分の荒さはそれほど目立つことはなく、細かい部分まで色を再現してくれます

ジークレー印刷に関わったという証明書

リョウ デジタルアート ジークレー版画

ジークレー印刷に関わった証明書が発行できるから、購入者にとって安心感があります。

「この作品は作家の指示のもとでつくられたジークレー作品です」とジークレー印刷証明書の発行ができるのも、ジークレー印刷でアート作品を印刷する価値でしょう。

ジークレー版画証明書とは、そのデジタル作品をつくった作家が監修したと言う証明書です。

そもそもジークレーを制作するということは、印刷業者と共同で質感や色の確認をしながら仕上げていくもの。

ポスター印刷のように、データを入稿して納品されるまで全て印刷業者へお任せする方法とは違い、作品を制作した作家が印刷確認をしてOKを出さない限り、ジークレーを完成させることができません。

なので証明書があるということは、作家にとっても購入者にとっても価値のある芸術作品であるという証明になります。

ジークレー印刷で納品を短縮する方法

ジークレー印刷を活用することで、アート作品の印刷〜納品までの期間を短縮する方法もあります。

最近、日本でも知名度を上げてきているオンライン作品販売サイトがあります。そのサービス名は『Artgene(アートジーン)』。

Artgeneは、オンライン上に作品のデータをアップロードすることで『出品、ジークレー印刷、額装、発送、売上の入金』までを1箇所でできるので、画家や写真家にはオススメです

詳しくは、下記の記事で話しているので、そちらをご覧ください。

手描きキャンバス作品もジークレーがつくれる

少し前までは、ジークレーをつくるには元となるデジタルデータが必要でした。

例えば、

  • イラストのデータ
  • グラフィックソフトで制作されたデータ
  • 写真を撮影した画像データ

など。

ですが、近年の印刷技術の進化によって、手描きのキャンバスアートもジークレー印刷ができるようになりました。

では、手描きのキャンバスアートをジークレーにする流れはこのような感じになります。

ジークレー版画の流れ

『01』の前にキャンバス作品の発送が必要になります。

キャンバスアート作品を発送する

上記の画像では記載されていませんが、まずは、手描きのキャンバスアート作品をジークレー印刷会社へ発送しなければジークレーの印刷に進めることができないので、作品を発送します。

もちろん送料は必要になります。

作品をスキャニングして画像として取り込む

次に印刷業者が届いたキャンバス作品を、専用のスキャニング機器でスキャンして画像データにします。

印刷業者と作家としてこだわりのある部分、再現してほしい色の部分について、打合わせをながらジークレー印刷へと進めていきます。

色の調整

届いたキャンバスアート作品を元に、色の調整をしていきますが、ここで何度か作家と印刷業者で色の確認をしていくので、作家自身もジークレーに関わっていくことになります。

全てジークレー印刷業者へ任せることはほとんどないと思うので、こだわりの部分はしっかり伝えましょう。

ジークレーへ出力

何度か色の調整をして作家のオッケーが出たら、ジークレーへと出力します。

僕がジークレー版画印刷でよく依頼する業者についてまとめている記事があるので、ぜひそちらを参考にしてみて下さい。

まとめ : ジークレーはデジタルアート向けの印刷技術

ジークレーは、RGBでつくったデジタルアートの色をできる限り再現してくれる、最高品質の印刷技術です。

版画の印刷も、ジークレー印刷を対応しているサービスサイトに作品データをアップローヅするだけでいいので、作品の発送の手間もかかりません。

さらに、現在日本でも新しく始まったデジタルアートや写真作品を出品するプラットフォーム『Artgene(アートジーン)』と活用すれば『出品、ジークレー印刷、額装、発送、売上の入金』までを1箇所で完結します。

ジークレー印刷は、デジタルアート作家、写真家にとってとても価値のある印刷技術といえるでしょう。

https://artryo.com/digitalart/wp-content/uploads/2023/04/artryo-hukidashi01.jpg
運営者リョウ

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リョウ(写真家)

京都の写真家。1974年生まれ、大阪出身。現在は京都府で写真家の活動をしながら芸術家を目指す人へ理想の芸術生活の過ごし方についてのブログを発信しています。2018年にプロの芸術家からブランディングやマーケティングの知識を学び、2018年に京都でデジタルアート展を開催。2019年に横浜赤レンガ倉庫でのグループ展に参加。2021年に奈良のクリエイターイベントに参加。現在は東京でも写真活動を行う。

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リョウ(写真家)

京都の写真家。1974年生まれ、大阪出身。現在は京都府で写真家の活動をしながら芸術家を目指す人へ理想の芸術生活の過ごし方についてのブログを発信しています。2018年にプロの芸術家からブランディングやマーケティングの知識を学び、2018年に京都でデジタルアート展を開催。2019年に横浜赤レンガ倉庫でのグループ展に参加。2021年に奈良のクリエイターイベントに参加。現在は東京でも写真活動を行う。

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