「ジークレー版画って何?」
画家や写真家をしている人なら、一度は「ジークレー版画」という印刷技術聞いたことがあるのではないでしょうか。
「ジークレー版画」とは、デジタル技術が進化したことで印刷業界が取り入れた最高品質の印刷技術。
主に、画家や写真家が版画を制作する際に使われる印刷の技法です。
原画の質感の再現性上げるために使われたり、作品販売を効率化するために使われていることが多いです。
目次
はじめに
僕はデジタルアートやアート写真の「光の魅力」を感じてもらうために、ジークレー版画で作品を完成させることがあります。
「Photoshop」や「Luminar Neo(ルミナーネオ)」を使って制作したアート作品は、RGBのインクで吹き付けて印刷するジークレー版画が重宝されています。
ちなみに「Luminar Neo(ルミナーネオ)」とは、AI機能が搭載されたワンクリックで人物の切り抜きやホコリを除去してくれる、最近話題のRAW現像ソフトです。
ジークレー版画の特徴は、RGBのインクをキャンバスに吹き付けて印刷する技法を使っているところ。
通常の印刷のインクは、色の三原色(CMYK)が使われているため、僕のデジタル作品(RGB)を通常の印刷(CMYK)で仕上げると、色がくすんでしまって光の質感を感じてもらうことができないんです。
ということで、デジタル技術が進化した今の時代だから必要になる「ジークレー版画」について、さらにその価値について話したいと思います。
ジークレー版画とは
Photo : https://pixabay.com/ja/(上記の画像はジークレーで使用する機械ではありません)
ジークレーのスペルを調べてみると『Giclee』と書かれていて、そのまま読むと『ジクレー』となりますが、『ジークレー』と読んでも間違いではありません。
どちらかと言えば、『ジークレー』の方が世の中に浸透しているので、その呼び方で話を進めていきますね。
ジークレー版画とは、RGBのインクを使った特殊なインクジェットプリンターで印刷された最高品質の印刷技術です。
とくに、デジタル作品を制作している画家や写真家にとって、版画の価値を上げる重要な印刷技術だといえます。
たとえば、僕が撮影した下記の青空の写真作品。
わかりやすく「RGB」と「CMYK」の、それぞれの色の規格を画像データにしてみました。
RGB(光の三原色)の場合、光が強く長時間見るには目が疲れるかもしれません。
ですが、写真を見ているとその場所にいるかのような感覚になるので、個展に飾るアート作品としては効果的です。
しかも、青色の空が鮮やかで肉眼で見る空に近い色を感じることができます。
では次に、下記の「CMYK(色の三原色)」で制作した作品を見てください。
RGB(光の三原色)のような、鮮やかな青い空にはならず、少しくすんでしまいました。
ただ、目が疲れるほど光が強くないので、広告やポスターなど見やすい印刷に向いています。
フライヤーやポスター印刷は、CMYKの色規格で印刷されています。
2つを並べてみると、その違いがわかるでしょう。
ジークレーは原画の質感を再現する
ジークレー版画は、作家と印刷業者がお互いに色や質感を確認しながら制作する印刷方法になります。
それぞれの専門分野に関わる人とジークレー版画を制作することで、RGB(光の三原色)作品の質感を再現することができます。
最近では、作品データをアップロードするだけで、ジークレー版画から額装までをセットで制作できて、効率よくジークレー版画を販売できるサービスも増えてきました。
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デジタルアートの価値は低い?
僕が制作するデジタルアートもそうですが、デジタル機器を使用したアート作品は、どうしても価値が低く見られてしまいます。
なぜかと言うと、パソコンで制作された作品はデジタルデータとして保存ができるため、何度でも修正ができるし量産しようと思えば簡単にでききてしまうからです。
それに、SNSに公開した作品は簡単に保存されやすく転売されやすいからです。
だけど、2022年に話題になった「NFTアート」が注目されたことで、デジタルデータの無断使用ができにくくなったので、デジタルアートの価値もどんどん高まってきています。
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デジタルアートを始めたキッカケ
僕はこれまでにグラフィックデザイナーとして、Web制作、名刺のデザイン制作、フライヤー、ロゴ制作、看板などの依頼を受けてきました。
そのデザイン制作に使用していたPhotoshopのスキルを活かして、自分らしく表現した作品を身近に感じてほしいと思ったことがデジタルアートを始めたキッカケでした。
デジタルアートの素材は自分で撮影する
そんなデジタルアートに使う素材の撮影にも、僕なりに「こだわり」があります。
たとえば、デジタルアートの中に使っている素材は、僕自身が一眼レフカメラで撮影した写真や知人のプロフォトグラファーに依頼して撮影してもらった写真を使っています。
スマホでもデジタルアートの素材を撮影することはできますが、どうしても印刷した時、輪郭に荒さが出てしまいます。
そもそも、スマホと一眼レフでは写真を撮るセンサーの違いがあって、いくら高画質のカメラ機能を搭載したスマホでも、一眼レフのセンサーには追いついていません。
その他にもレンズの違いや露出設定の違いもあります。
作品の細かい部分にこだわるのであれば、一眼レフで撮影した方が良い写真が撮れるんです。
僕は現在「アート×写真家」として、映画のワンシーンのようにストーリーを感じるアートな写真を撮影する活動をしています。
その撮影技術を使って、自分でデジタルアートに使用する素材を撮りに行くこともあります。
こちらは僕が撮影した風景写真です。
その風景写真でつくったデジタルアートがこちら。
このように、僕のデジタルアートは、すべてAdobe社が販売している画像編集ソフトの「Photoshop」や「Luminar Neo(ルミナーネオ)」でつくられています。
Photoshopは、写真家やグラフィックデザイナーがよく使用するソフトですが、最近ではデジタルアートを制作する技法としても使われるようになってきました。
手描きの絵が苦手だけどアートを作ってみたいと思った場合は、デジタルアートを取り入れてみてはいかがでしょうか。
共同でアート作品をつくることもある
さらにフォトグラファーやモデルに依頼して、コラボでデジタルアート作品をつくることもあります。
こうしてフォトグラファーとモデルに協力してもらって撮影した写真を使い、20点のデジタルートを作品集にしてプレゼントしたら喜んでもらえました。
そのプレゼントをするデジタルアート作品集を制作する時でも、紙質こだわって光を抑えた半光沢の高品質の紙質を使ったフォトブック制作サイト『マイブック(MyBook)』で作ります。
マイブック(MyBook)は、世界のプロ写真家も認めるほどでアメリカ最大のプロフォトグラファー団体からも、アルバム部門トップの賞を6回受賞しているサービス。
僕が運営している写真家公式サイトの方で、マイブック(MyBook)を使って作品集をつくった感想を話しているので、興味があればそちらも覗いてみてください。
フォトブック制作サイト『マイブック(MyBook)』で作品集をつくった感想を公開
ジークレー印刷の価値
以前は予算の関係で、格安のポスター印刷でデジタルアートを印刷していましたが、ジークレー版画は格安ポスター印刷とは質が違います。
ジークレー版画は、大きなサイズで印刷しても細かな部分の荒さは殆どなく細かい部分まで再現してくれます。
僕のデジタルアートの世界観を感じてもらうには、最低でもA2サイズ(420mm x 594mm)の大きさが必要になります。
例えば、格安印刷業者のポスター印刷で仕上げた場合、どうしても細かな部分が荒くなってしまうんです。
こうして僕は、デジタルアートにこだわりをもって、ジークレー版画と言う最高品質の印刷技術の価値を感じてもらえるように工夫しています。
こだわりをもつと言うことは、作品1点1点に想いを込めて制作することができると言うこと。
僕はどんなアート作品が好まれやすいのかを深くい考えず、シンプルに自分が表現したいものや主張したいものをつくって、その価値をジークレー版画で感じてもらいたいと考えています。
もしかすると価値のある作品をつくっている人は、シンプルに自分の心の中に感じた世界を表現しているだけなのかもしれませんね。
ジークレー制作に関わった証明書
「この芸術作品は、画家の指示の元でつくられたジークレー版画です」
と口頭で言っても、
「本当に画家もジークレー版画制作に関わっているの?」
と疑問に感じて、なかなか納得してもらえないことがあります。
そこで画家の指示の元で制作されたジークレー版画だと信じてもらう方法として、ジークレー版画証明書を添えるようにしています。
『ジークレー版画証明書』とは、そのデジタル作品をつくった作家が監修したと言う証明書です。
そもそもジークレー版画を制作するということは、印刷業者と共同で質感や色の確認をしながら仕上げていくもの。
ポスター印刷のように、データを入稿して納品されるまで全て印刷業者へお任せする方法とは違います。
作品を制作した画家自身が印刷確認をしてOKを出さない限り、ジークレー版画を完成させることができません。
なので「証明書」があると、画家にとっても購入者にとっても価値のある芸術作品であると言う証明にもなります。
手描きキャンバス作品もジークレーがつくれる
初めはジークレー版画をつくるには、元となるデジタルデータが必要でした。
例えば、
- イラストのデータ
- グラフィックソフトで制作されたデータ
- 写真を撮影した画像データ
など。
ですが、近年の印刷技術の進化によって、手描きのキャンバスアートもジークレー版画をつくることができるようになりました。
手描き作品をジークレーにする方法
たとえば、手描きの芸術作品(キャンバス)を、ジークレー版画の印刷技術を取り入れている印刷業者へ発送するだけでいいんです。
手描きキャンバスアートからジークレー版画制作までの簡単な流れは下記のようになります。
印刷業者と画家としてこだわりのある部分、再現してほしい色の部分について、打合わせをながらジークレー版画をつくっていく。
僕の場合はデジタルアートといってパソコンを使ったアート制作になるため、完成した作品をデジタルデータで保存することができます。
手描きの絵のようにキャンバスを発送する手間がなく、完成データをオンラインで入稿するだけで良く、これがデジタルアートのメリットの1つでもあります。
さらに言うと、デジタルアートの完成データが入ったノートパソコンがあれば、どこにいてもジークレー版画印刷業者へ入稿と納品までをすることもできます。
「これからデジタルアートを始めたい」
「写真家になってアートな写真作品をつくりたい」
と思った場合は、ぜひジークレー版画を使ってみてはいかがでしょうか。
僕がジークレー版画印刷でよく依頼する業者についてまとめている記事があるので、ぜひそちらを参考にしてみて下さい。
これから芸術家に必要なスキル
最後に、せっかくジークレー版画でこだわりのある作品をつくったのに、SNSに公開したりオンラインショップに出品しても購入されなければ悲しいですよね。
昔の芸術家なら、ギャラリーと連携して作品をプロモーションすることができましたが、最近は個人でもプロモーションする仕組みを作ることができる時代。
販売手数料が掛からない方法で、上手に作品を販売する芸術家も多いです。
購入されている芸術家と、優れた作品をつくっているのになかなか購入されない芸術家の違いをご存知でしょうか?
答えは「WEBマーケティングの知識」があるかないかなんです。
WEBマーケティングとは
WEBマーケティングとは、商品に興味をもった人をホームページに誘導して自然な流れで商品を購入に繋げる知識。
誘導するのはホームページに限らず、SNS、ブログ、オンラインショップ、メールマガジンなど、いろいろあります。
WEBマーケティングの知識を身につけることで、作品の購入に繋げる仕組みをつくることができて、最終的には「自動化」することも実現することができます。
WEBマーケティングを身につける方法
WEBマーケティングを身につけるには、独学でも可能ですが、調べることがとても多く効率的ではありません。
最近では、オンラインでWEBマーケティングを学べるスクールもあるので、それを活用すれば効率的にWEBマーケティングが学べます。
今の時代は、作品をるくつるだけでは購入に繋げることは難しく、個人として活動をしている場合は、なおさら露出することが難しくなってきました。
そこで、ブランディングやマーケティングの知識が必要になってくるんです。
最後に
今回は「ジークレー版画印刷について」「デジタルアートへのこだわり」「これからの芸術家に必要な知識」について話してきました。
優れたアート作品をつくる芸術家は多いですが、なかなか認知度を上げれずに悩んでいる芸術家が多いのは事実。
僕も「どうしたら認知度を上げることができるのだろう」と悩んできました。
ネットが日常的になってきた今の時代だからこそ、活用する価値はあります。
WEBマーケティングは、これからフリーランスとして仕事につなげるために必要なスキル。
ブランディングは、芸術家にとって「ファン」を増やすために必要なスキル。
NFTは、デジタルアートの価値を高めるために必要な技術。
これらのスキルを「仕組み化」すれば、個人でも強い力が身につくでしょう。
ぜひあなたも、デジタルアートの価値を高めるための「仕組み」をつくってください。
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