昔から好きなことと仕事は別物だと言われているが、絵が評価されないことの原因はそこではない。
絵が評価されない原因は、画家の価値を上げれていないからである。
今回は、せっかく好きで始めた絵なのになかなか評価されない原因と、どうして画家の価値を上げる必要があるのかについて話をしたい。
目次
絵が高く評価されないのはなぜ?
世の中にはとても優れた絵を描く画家がいるが、優れた絵を描いている画家がみんな高く評価されているわけではない。
例えば、優れた絵を描いている画家が100人いたとしたら、2〜3人ほどの画家しか絵が評価されていないのが事実。
ここで言う『評価』とは、描いた絵にある程度の高い値段をつけても必ず購入されたり、個展を開けばかなり多くの内覧者がくると言った意味である。
では、なぜ優れた絵を描いているにも関わらず、高く評価されないのか。
その理由は、その画家について共感できる部分や信頼できる部分がないからである。
そして、高く評価されない画家の共通することは、画力を上げることだけに集中してきたこと。
画家は絵が上手いだけじゃいけない
優れた絵を描いている人の中で、高く評価される画家とそうでない画家の違いは、画家として価値を上げれているかどうかである。
こんなことを聞いたことがないだろうか、
「画家は亡くなってからその絵の価値が上がる」
と言うことを。
これは恐らく現在のようにネット環境がなく、亡くなった後でその画家の絵が見つかり、そこから口コミや雑誌で広がるからではないだろうか。
しかも画家自身が絵に対する想いを伝える方法もなく、ある程度有名にならなければメディアに出ることはなかった。
ようするに、いくら優れた絵が描けてもその絵に対する想いや、絵自体を広げる手段がなければ画家として共感してもらえる方法がなく、どんな画家がその絵を描いているのかわからないまま闇に眠ってしまう。
だけど、今の時代はデジタル化もどんどん進み、家にいなくても情報を知ることができる。
と言うことは優れた絵だけを公開するより、その絵を描いた時の感情や風景を一緒に伝えるようにすれば、画家として共感してくれる人も増えやすくなるだろう。
ここで画家の価値を上げるポイントとして、次の2つのことを意識してみて欲しい。
- 自分が描く絵にこだわりをもつ
- 絵に対する想いを伝える
ここに共感してくれる人は必ずいるはずだ。
自分が描く絵にこだわりをもつ
まず、自分が描く絵にこだわりをもつことも、その絵を見る人から共感されるポイントになる。
僕は現在デジタルアートと言って、パソコンのソフトPhotoshopと言うものを使った作品を制作している。
Photoshopとは、写真家やWebデザイナーなどがよく使用するソフトで、画像を編集したりグラフィックな作品をつくるAdobe社が販売している画像編集ソフトである。
以前に書いた記事では、日本でもアートを始める人が増えてきている中で、こう言ったデジタルアートをつくる人はまだ少ない。
今から芸術活動を始めたいのなら、その選択肢にデジタルアートと言う技法を使う方法もあると話した。
実際に僕がデジタルアートの制作活動をしていると、グラフィックに興味のある人たちからのコンタクトも増えている。
しかしデジタルアートは、手描きの絵を描く画家からすれば、
「そんなのは芸術じゃない」
「何回でも複製できるじゃないか」
と思う画家がいるのも事実。
だけど、僕にはデジタルアートを制作する場合のこだわりがある。
そのこだわりの1つが、ジークレー版画を使って現物化するというこだわり。
ジークレー版画とは通常のポスター印刷ではなく、印刷業者と共にイメージを共有して僕自身が監修して印刷してもらう、最高品質で仕上げる印刷技術と言うもの。
簡単に言うと、画家が原画のイメージを印刷業者に伝えて、それを印刷業者が最高品質の印刷技術で仕上げる複製画である。
僕はこだわりのあるデジタルアートは、ジークレー版画が完成した後にパソコンに保存しているその作品のデータを消して、世界で1点しかないジークレー版画として保管することもある。
こんな感じで自分が描く絵にこだわりをもち、その想いを世界に発信していくことで共感してくれる人が集まってきてくれる。
絵に対する想いを伝える
Digital art : ryo
自分が描く絵に対する想いを、今の世の中に伝えていくことも大切である。
なぜなら、絵に対する想いを伝えることで、その画家がどんな人物なのかを知ってもらうキッカケになるからである。
ここで少し、僕のデジタルアートについての話しをしたいと思う。
先ほど話したように、僕はパソコンソフトのPhotoshopを使ってデジタルアートを制作している。
なぜ手描きではなくパソコンを使っているのかと言うと、過去にグラフィックデザイナーで身につけたグラフィックの技術を活かしたかったからである。
そして僕のデジタルアートのコンセプトは、『芸術で地球を塗り替える』というもの。
そのコンセプトの意味は、今の世の中には自然災害や人とのトラブルが多くなっことで、ストレスを抱えてしまう世界になってしまっている。
そんなネガティブな姿をした地球の部分を、デジタルアートを通して少しでもクリーンな地球環境に塗り替えて、その姿を持続させたいと言う想いがある。
そんな僕のデジタルアートは、作品を見てくれる人が感じたいように感じ、その人の想いも込めてもらいたい作品にしている。
僕のデジタルアート作品の一部は、Behanceと言うサイトで公開している。
外部リンク
そして作品につけるタイトルにもこだわりがあり、抽象的なタイトルになっている。
これも、現在の地球環境について共に考えていきたいという想いで、
「この世界観をどう思いますか?」
「自分たちの住んでいる世界はこんな意味にも取れるのかもしれない」
といった、問いかけるような言葉で締めくくることが多い。
僕がこれまでに経験した人生の中で失敗したことを思い出し、それを今の時代にどうやって伝えていこうか考えながらデジタルアートを制作している。
今の状況を分析できる力を身につける
どんなに絵が上手でも、どんなに価値のある画家になったとしても、その時々の状況を分析できなければ正しい判断や共感される絵は描けないもの。
今の世の中は、デジタル環境が進化したことでSNSやネットで、いつでも簡単に世界の情報を見ることができてとても便利になってきた。
だけど、その反対にトラブルをおこす原因になることも多い。
- SNSで誹謗中傷受けた
- 詐欺にあってしまった
- 個人情報が流出した
など、危険や不安もたくさん隠れている。
「この危険や不安を取り除くことはできないだろうか?」
「心のストレスを無くすことはできないだろうか?」
そのためにはまず、トラブルの原因となっている状況を分析しなくてはいけない。
そして世界の人々が、
「どうして自分はこんなに苛立つのだろう?」
「ストレス抱える原因は何?」
ということを考えて、自分自身で解決できるようにならなくてはいけない。
そこで僕のデジタルアートを見て、少しでもそのネガティブな部分を取り除いてもらえたらと思っている。
それが、デジタルアートの『芸術で地球を塗り替える』というコンセプトにした理由である。
そしてこれから画家を目指す人のために伝えたいことは、こだわりをもてる画家になるための知識を身につけて欲しいと言うこと。
そして、絵に対する想いを効果的に伝えて、共感される画家になって欲しいと言うこと。
未来につなげる芸術活動
デジタルアートのコンセプトのように芸術で地球を塗り替えるためには、いろいろな人と価値のある芸術活動を続けていく必要がある。
絵にこだわり絵に対する想いを伝えていくことが重要なこと。そのために必要なことは、『自分』というブランドの価値を上げることである。
これからの時代は個人が活躍できる時代になるため、『自分』というブランドの価値は自分自身でつくっていかなければならない。
未来の地球に向けて自分が何に貢献できるのか考えてみると、絵のコンセプトも明確になり、共感される絵を描き続けることもできる。
自分の人生は自分がつくるもの
絵を描いて理想的な画家生活を目指していくのなら、その画家生活を他人に委ねてはいけない。
理想的な画家生活を目指していると、焦りがでることもある。何とかして自分の知名度を上げたい『焦り』から、個展やコンテストに応募することもあるだろう。
さらに、販売経験もないのに絵をオンラインショップで販売することもあるかもしれない。
以前に書いた記事でも話しているが、焦りは正確な判断を狂わせてしまう厄介なものである。
焦って個展を開いても、集客できていなければ個展を見にきてくれる人もいないければ、絵が購入されることもないだろう。
大切なことは焦っている自分に気づき、その時の状況を分析し、少しずつ正しい道へと軌道修正することである。
まずはファンを集める
個展で絵が売れている画家は、ある程度のファンが集まっていて知名度があるからなのである。
しかしファンも少なく知名度もない作品を、個展でアピールしたところで見に来てくれる人はいるのだろうか?
おそらく0(ゼロ)に近いはずだ。
画家になり始めた時に、ついやってしまう間違いが、
「絵を見にきて」
「絵を買って」
という気持ちになって、人を集めずに絵の売り込みをしてしまうことである。
もし心当たりがあるなら、下記の記事を読んでみることでイメージができるだろう。
その内容を簡単に説明すると、現在のSNSは広告で売り込み投稿が多くなってきている。
そんな広告だらけのSNSの中で、
「絵を安く販売しています、詳しくはこちら」
と言う投稿を見た人は、ただの売り込み投稿と思ってしまいスルーしたくなるだろう。
どんな画家が描いた絵なのか知らないし、そもそもその絵を買う価値があるのかとも思われてしまう。
そうならないためには、画家としてのファンをつくることが重要である。
物やサービスを購入する人は、相手に共感できる部分がある場合、信頼できる相手だと感じた場合に『買う』と言う行動に出るもの。
SNSは購入してもらうために発信するのではなく、自分の想いやためになる情報を届ける方が効果的に集客できる。
ファンを集めるためのセルフブランディング
ファンを集めるためには、自分をブランディングする必要がある。
例えばブランディングができていない無名の画家が、作品コンテストに応募したとしよう。
どんな人物なのか知らない無名の画家が、コンテストに合格してもその後に理想的な画家生活を送れる保証はあるのだろうか?
コンテストに合格したことで、そのコンテストを主宰した企業は次にその絵を海外の作品展で披露するだろう。
しかし、その作品が海外で売れても、販売価格の半分の手数料を主宰した企業やギャラリーに支払わなければならない。
さらに企業が主催した作品展に出展する場合でも、その出展費用も画家が支払うことになるので赤字になる可能せもある。
それなら自分でブランディングしてファンを増やし、国内で個展を開くほうがいい。
それには、ファンを増やすために大切な『セルフブランディング』の知識が必要になってくるだろう。
まとめ
今回は、絵が評価されるためには画家として価値を上げなければいけないということについて話をしてきたが、イメージできただろうか?
そして画家の価値を上げるために次のことを意識しておくことも大切である。
- 自分が描く絵にこだわりをもつ
- 絵に対する想いを伝える
それを意識すれば、未来の自分の理想の世界につなげることができるだろう。
そして、その未来の世界を他人に委ねずに、自分自身でつくっていくしかない。
『セルフブランディング』の知識を身につければ、『自分』というブランドの価値を上げることもできる。
どんな時でも焦ってはいけないのである。
焦らずに少しずつ行動していくことで、必ず自分らしい理想の芸術人生を歩くことができる。
絵が高く評価されるために、画家としての価値を上げるのは自分自身。
失敗を恐れずに、少しずつ理想の芸術人生を歩いて行って欲しい。
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