芸術家支援企業からのオファーを受けるか断るかの判断の見極め方。

作品展

芸術活動を続けていくことで、アート作品を見てもらう機会は必ずやってくる。

「継続は力なり」という言葉のように、ポートフォリオサイトでアート作品を公開し続けたり、人のためになるブログを書き続けたり。どんなことでも「続けること」はとても大切なことである。

そうやって芸術系の情報発信を続けていると、芸術家支援企業からのオファーの問い合わせはよくあること。

広げたいと思っている芸術家にとっては嬉しい話だが、安易に受けてしまうと「高額を請求されるのではないだろうか?」と思うこともあるだろう。

そこで今回は、芸術家支援企業からのオファーを断るか受けるかの判断基準について話したいと思う。

先に結論から言っておくと、自分が納得いくまで話を聞いて違和感を感じるなら断り、自分の想いに合うなら受けても良いということになる。

実際に僕も芸術家支援企業からのオファーを受けた経験があるが、正直に言うと、良い企業なのか悪い企業なのかなんて見極めることは難しい。

なので、今回の記事を参考にして、芸術家支援企業からのオファーを断るか受けるかを見極めてほしい。

はじめに

本題に入る前に言っておくが、今回の話の中に出てくる芸術家支援企業について、その企業から宣伝の依頼があって記事を書いているわけではない。

僕自身が芸術家支援企業から連絡を受けて感じたことや、そのオファーを断るか受けるかを判断した基準について話しているものであり、個人の意見として自己判断のもとで書いた記事である。

最終的に芸術家支援企業のオファーを受けるか受けないかは、あなた自身の判断で決めてほしい。

https://artryo.com/digitalart/wp-content/uploads/2022/11/artryo-img111501s.jpg
リョウ

画家や写真家の活動をしていると芸術支援企業から連絡があるのは普通のことで「認められた」と喜ぶ前に、しっかりとその企業のリサーチをしよう。

芸術家支援企業が主催するグループ展に参加するまで

僕は2019年12月に、芸術家支援企業の株式会社クオリアート(以降「芸術家支援企業」と記載)が主催する神奈川県横浜市にある横浜赤レンガ倉庫のクリスマスイベントのグループ展に参加したことがある。

そもそもなぜ、芸術家支援企業が僕宛にオファーの連絡があったのか。

それは、理想的芸術生活ブログで芸術家になるための情報発信をしていたり、クリエイター向けの作品公開サイト「Behance(ビハンス)」で、アート作品の公開を続けていたことがキッカケだった。

Behance リョウの作品

リョウのアート作品を公開しているBehanceはこちら

これまでも複数の企業から出展のオファーがあったが、出展内容と出展費用のバランスが合わなかったため、全て断っていたが、横浜赤レンガ倉庫のグループ展を主催する芸術家支援企業は良心的な印象だった。

オファーを受ける決め手となったのは、出展内容、出展後のサポートなどが僕の許容範囲だったからである。

その決め手になった内容をまとめると、次のような感じになる。

  • 神奈川県の横浜赤レンガ倉庫という有名な施設での大規模なグループ展だということ
  • 毎年5000〜7000人の来場者があるということ
  • 出展する作品がプロの芸術家に審査してもらえること
  • 審査結果が良ければそのまま海外に出展ができること
  • 来場者からの作品に関するアンケートが見れること
  • Tokyo Walkerの雑誌に載せてもらえること
  • その後の芸術家の支援を受けることができること
  • 芸術活動の実績になること

これらのことを踏まえると、多少の出展費用がかかったとしても出展する価値はあると僕は考えた。

横浜赤レンガ倉庫のグループ展とは

神奈川県にある横浜赤レンガ倉庫は、赤レンガを使って建てられた建造物で倉庫を改造してできた文化施設である。

横浜赤レンガ倉庫の公式HP

定期的に行われる芸能系のイベントなどでも知っている人は多いのではないだろうか。

恋人のデートスポットにもなっていたり、ファミリー向けにカフェやショッピングなどもできて、横浜へ出かける時には立ち寄ってみたい場所だ。

そんな横浜赤レンガ倉庫では2019年を含め、過去4回にわたってクリスマスに約100名の芸術家の作品を出展する大規模なグループ展

先ほども話したように、過去のアート展でも、1回に約5000〜7000人の来場者数を誇る、大規模なグループ展が開催されている。

しかも、一般の来場者からのアンケートに書かれている感想が見れたり、プロの芸術家から見た自分の作品の評価もわかる。

芸術家を目指す人にとっては、なかなか体験できない価値のあるグループ展になると僕は思った。

行動したから経験できたグループ展

芸術家支援企業から連絡があったとき、最初は断るつもりだった。なぜなら、これまでにも何度か芸術家支援企業からのオファー連絡があったが、マニュアル通りに話す内容に嫌気がさしていたからである。

僕は営業職には関わったことはないが、接客業や販売業を経験していたこともあって、マニュアルがあることぐらいは知っている。だからマニュアル通りすぎると、心がこもっていないことぐらいの見極めはできる。

この時も「同じような連絡だろうと」思っていた。ところが、話を聞いていると相手の話す内容に違和感を感じなかった。もちろん営業のプロなのだから、話術が優れているのは当たり前のことである。

この時の相手(担当者)の話を聞いていると、とても自然で、嫌な気がしなかった。その入り口が良かったこともあったのかもしれない、僕はその時すでに「出展してみよう」と心の中で決めていた。

気になることは自分で調べる

僕は気になることがあると、ネットやSNSの評価を調べるようにしている。

今回の芸術家支援企業についてリサーチしてみると、悪い評判と良い評判の比率が50%くらいだった。

「また連絡があったので断った」

「この時期になると動き出す芸術家支援企業。また連絡が来たか!」

というような書き込みが多く、不安になるような口コミもあれば、

「おかげで芸術活動をする上で良い経験になりました。また出展したいです」

「自分の作品が他の人にどう思われているのかを知ることができました」

と言うような前向きな口コミもあって、芸術家支援企業に支援してもらいながら芸術活動を広げれている人もいるのも事実。

良い評判があるから信頼できる企業とは限らないし、悪い評判が多いからと言って悪徳企業とも限らない。

最終的には評判や口コミではなく、自分自身が参加したいか参加したくないかを決めることが重要である。

もちろん、横浜赤レンガ倉庫と言う名前をよく聞くし、有名なスポットなのは知っている。

「さすがに有名な場所で大規模で悪い商売はしないだろう」と思い、主催している芸術家支援企業に再び話を聞いてみることにした。

しっかり芸術家の作品を見てくれている印象

この時の僕は、Photoshopで制作したデジタルアートを見てオファーの連絡があった。

そこでまず僕のデジタルアートについて、どんな印象を感じたのかを詳しく聞くことにした。

これまで色々な芸術家支援企業からオファーがあったが、僕のデジタルアートの印象を聞くと、

「今までにない新しい作品ですね」

「すごく新しい作品だと感じました」

というような、誰にでも言えそうな印象しか聞くことができなかったので、同じような反応なら僕はすぐに断るつもりでいた。

だけどこの時の芸術家支援企業は、長時間にもかかわらず、僕の作品についてどのような印象をもってくれているのかを詳しく話してくれた。

こう言った企業には営業力があり、言葉の使い方が上手なことは僕も知っている。相手が喜ぶ話をする、会話のプロなのだから。

そう言った芸術家支援企業が収益目的なことくらいは僕も知っている。

芸術家支援企業にとってはそれが仕事なのだから当然であり、僕に言わせれば無償で出展させてくれる企業の方が不安だらけだ。

出展から出展後の芸術家へのサポート

今回の芸術家支援企業は、日本の芸術家のプラスになるような支援をしたいと言う協力的な部分が伝わった

大切なことは、出展準備も当日も出展後も芸術活動のためのサポートをしてもらえるのかと言うこと。

出展費用を支払った後は「イベント後は、ご自身で活動してください」のような体制だったら、自分で個展を開くのと何も変わらない。

出展費用を支払うのであれば、その後のサポートも大切だと言うことを話すと、とても協力的にサポートしてくれると言う気持ちが見えたので参加することを決めた。

無理のない投資はプラスになる

その支援の想いが強いと言う部分は納得できるが、一番疑問に思うことが「出展費用」になるだろう。

出展費用については最初から気になっていたが、決断をする前に出展のメリットやデメリットを聞いた上で確認する方が判断がしやすい。

先に出展費用を聞いてしまうと「高い」と言う思い込みが邪魔をして、芸術家支援企業の話が入ってこない。

ここまで芸術家支援企業から話を聞いて感じたメリットが、次のようなものだった。

  • 多くの人に作品を見てもらう機会ができる
  • 大規模での作品展の実績ができる
  • 海外進出への可能性が広がる
  • 自分の作品の感想を聞くことができる

僕にとっては、自分の作品を広げるいいチャンスである。

一方でグループ展に参加するデメリットが次のようなもの。

  • 出展費用(参加費用)が掛かる
  • 芸術家支援企業の評判によって作品の価値が下がる恐れがある
  • 一度参加すると新たな出展オファーの連絡がくる

芸術家支援企業の評判というものは、あまり良く思われていないところが多い。

その理由は、オファーをしてくるのに出展費用を請求してくるところにあるからだ。

だけど先ほども話したように、僕からすれば無料で出展できる方が不安である。

もし反対に赤レンガ倉庫と言う有名な会場で、無料で出展できると言われていたら断っていただろう。

大規模なグループ展での出展と、その後の支援の内容を考えると、それなりに費用は掛かるのは当然のこと。

そう思って確認してみると、予想通り出展費用の総額が「約10万円」掛かると言う。

もちろん、出展費用は自分が予想していたよりも大きく上回った場合は断ると決めていた。

ただ今回の出展費用に関して言えば、今後活動をする上で考えていた予算内である。

出展費用も予算内。

サポートも納得できる。

ファーストコンタクトも問題ない。

全てのバランスを考えて、グループ展のオファーを受けることにした。

無理のない出展費用は芸術人生にとってプラスの投資になる

だけど予想を上回るような、無理な投資は絶対にしないこと。

それぞれの芸術活動に合った予算内で投資する事が大切だ。

結果的に芸術人生のプラスになった

横浜赤レンガ倉庫のグループ展へのオファー連絡があってから決断するまで、いろいろ解決しないといけない項目があった。

  • 芸術家支援企業の調査
  • 主催会社や会場の過去のイベント検索
  • 申し込み方法(出展方法)
  • 支払い方法
  • 出展作品の選択(既存の作品なのか新たに制作するのか)
  • アート作品のタイトルと説明の見直し
  • アート作品の発送方法と期限の確認
  • グループ展終了後から作品返却されるまでの流れ

こんな感じだが、その他にも気になることがあるなら遠慮せず、納得のいくまで聞くことが重要だ。

たとえ相手が面倒臭そうになったとしても、費用を払ってまで出展をするのだから、相手のペーズに巻き込まれないことが大切である。

作品がどう見られているのか知ることができる

僕が参加した横浜赤レンガ倉庫のグループ展では、見にきてくれる一般の方と芸術業界に関わる人の審査がある。

自分の作品が、他の人からどう見られているのかを知るキッカケにもなる

今回出展したグループ展には審査がある。

その審査で優秀な作品に選ばれると、出展作品をそのまま海外で出展し、世界中の人にアート作品を見てもらえるチャンスにもなる。

それを考えると、出展費用が約10万は安いのかもしれない。

残念ながら僕の作品は海外へ行くことはなかったが、今回の横浜赤レンガ倉庫のグループ展に参加して良かった事は、見にきてくれた人たちからの作品の感想が見れること

自分の作品の良い部分、共感できる部分など、作品に関する感想を見ることができる。

それを見て、僕は確信したことがある。

自分のアート作品が人の心を揺さぶることができて、さらに作品の想いに共感してくれる人がいると言うことを。

芸術家として知名度を上げるには、作品に対する想いに「共感」してもらえることが重要である。

僕が出展したグループ展のアンケートの中から、とくに嬉しい感想を書いていただいた6枚を紹介しておきたい。


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50代女性会社員

吸い込まれそう。今の自分の感情に合っている。すばらしい。


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20代男性学生

一目で作品にひきこまれた。水面に描かれた世界がとてもキレイで、この世界に行けたらいいなと思った。


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30代女性会社員

とてもきれいです。色が好き。


https://artryo.com/digitalart/wp-content/themes/muum_tcd085/img/common/no_avatar.png
内覧者様

さわがしさから解放されるような作品でした。


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30代男性自営業

幻想的な空間がすごく良かったです。中心のイスに座りたいです。


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20代男性海外在住

天国のように感じた。死後の世界、美しさがイメージできた。


アンケートはまだまだあるが、こう言った感想を聞くことも、今後の活動のヒントになる。

今回出展した僕のアート作品は、下記の『主の肖像画、夢想の光の中』と言うデジタルアート作品。

[ 作品のキャプション ]
仕事に疲れたり苛立ちを感じたりすることはありますか?
時には椅子に座って現実を離れ、幻想的な世界(夢)を想像してみてください。
あなたが想像する世界は、あなたが望んでいる世界。
その世界を創り上げるのは、あなた自身なのかもしれません。

デジタルアート制作者 リョウ より


『主の肖像画』というデジタルアート作品は、いくつかのシリーズがある。

その誕生ストーリーについて、下記の記事で話しているので興味があれば読んでほしい。

その想いに共感してくれている人がいると知った時、グループ展に参加して良かったと思えることができた。

作品展の実績ができる

グループ展に参加したことで、有名な文化施設のグループ展に参加したという実績も増えた。

確かに、今の時代は無名の芸術家においしい話を持ち出して稼ごうとする企業が多いのは事実。

だからと言っていつまでも受け身のままでは、理想の芸術生活を過ごすことはできない。

自分のアート作品にこだわりを持つことができれば、違和感を感じるオファー連絡がきたとしても、「断る基準」をもてば見極めることができる。

芸術家支援企業の想いを聞き、予算をオーバーしているかを考え、その後の支援について詳しく確認する。そうすることで、断るか受けるかの判断ができる。

個人として芸術活動を続けていくには、こう言った「見極める力と判断力」が大切である。

最後に

今回のように芸術家支援企業から突然のオファーがあった時、そのオファーが自分にとって重要なものであれば受ける価値はあるだろう。

もちろん不安な部分はあるが、相手のペースに巻き込まれないように、自分自身が納得できるまで相談することが大切だ。

とくに次のようなことは時間をかけてでも確認するといいだろう。

  • どれだけの人に作品を見てもらえるのか
  • 作品展の実績として公開してもいいのか
  • 海外進出への支援はあるのか
  • 作品の感想を聞くことができるのか
  • 出展費用はどれくらいかかるのか
  • 支払い方法は
  • 自分の作品をどう感じてもらえたのか
  • なぜ自分にオファーをしたのか

ただ忘れてはいけないのが、芸術家支援企業も仕事をしなければいけないため、多少の営業目的で成績を上げるためでもあるということ。

「仕事」になると、当然そこには「収益(請求)」が発生するのは仕方がないこと。

それを踏まえて、オファーの内容に納得ができるかどうかで判断すればいい。

SNSで評判を見ることも、ネットで口コミを見ることも大切だが、最終的には自分自身で判断することになり、自己責任ということになる。

相手の企業がどんな会社で、自分にとってどんなメリットがあるのか。その見極める力を身につければ、断るか受けるかの判断ができるはずだ。

アート×写真家リョウ

アート×写真家リョウ

京都でアート×写真家として理想の芸術生活を目指し始め、これまでに失敗してきたことや学んだことを、これから芸術生活を目指す人へ伝えるために「理想的芸術生活ブログ」を立ち上げました。現在は、グラフィックデザイナーで身につけたスキルを使ったデジタルアート制作、約10年間趣味だった一眼レフで身につけたスキルをつかったストーリー性のあるシネマティック写真撮影の活動をしています。

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アート×写真家リョウ

アート×写真家リョウ

デジタル画家から『アート×写真家』へと進化し理想の芸術生活を歩き始める。美容師、デザイナー、ブライダル業に関わっていたことで芸術の世界に興味を持つ。2018年8月に京都のギャラリーで開催した『時間の導き』展で個展デビュー。2019年12月には横浜赤レンガ倉庫でのグループ展に出展し、自身のアートや写真の作品が人の心を動かしていることを知る。

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