「芸術家になりたいなら10年は続けること」ってよく言われるが、半分間違いで半分正解である。
作品を制作し続けることは大切だと思うが、「10年」経たないうちにプロの芸術家になっている人もいる。
今回は、芸術家になるために、とくに重要な知識について話したいと思う。
最初に言っておくが、芸術的感覚をもっていることを前提に話すが、芸術的感覚は生まれつきではなくても向上させることができる。
くわしくは下記の記事で話しているので、参考に読んでみてほしい。

2023.06.21
オンラインイラスト教室 | 芸術に触れることでクリエイティブな子どもに育つ
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目次
芸術家はセンスよりブランディングが重要
芸術家になるには、芸術的センスを磨くよりブランディングの知識を身につけることが大切である。
「芸術的センスがなければ芸術家になれない」
確かに芸術的センスがあれば、オリジナリティーのあるアート作品をつくることはできるだろう。
だけど「芸術的センス」つまり優れたアート作品をつくったとしても、その作品に興味をもってもらわなければ購入につなげることはできない。
アート作品に興味をもってもらうためには、芸術家の想いに共感できたり、なぜその作品をつくったのか、作品の背景が見えなければ興味をもってもらえない。
このように、芸術家に興味をもってもらうための知識が「ブランディング」である。
絵が上手だけで購入したくなりますか?
ここで、無名の画家が描いた絵をイメージしてに、2つの質問をしよう。
ー質問①ー
「あなたはその絵が上手と言うだけで10万円だせますか?」
おそらく購入しないだろう。
なぜなら、どんな画家がどんな想いで描いた絵なのかわからないし、絵が上手と言うだけであなたが購入するメリットを感じないからである。
では次の質問はどうだろう。
ー質問②ー
「貧困な暮らしを続けていた20代の無名画家が、自分の人生を変えたくて、小さい頃に買ってもらった水彩絵の具を取り出して描いた、明るく幻想的な地球の絵。これを10万円で購入してくれますか?」
「質問①」に比べると、購入意欲は上がったはず。
その理由は、無名画家のこれまでの人生を想像してその絵を描いた背景が浮かんできたことで、共感し興味をもったからである。
このように、無名画家の見えないストーリーに共感でき、そのストーリーを元に絵の中に込められた想いを想像してしたくなる発信方法が「ブランディング」である。
理想の芸術人生を過ごす3つの要素
芸術家になって理想の芸術生活を過ごしたければ、「自分」というブランドの価値を高めるために3つの要素が必要になる。
- 『共感』できる要素をつくる
- 『信頼』できる要素をつくる
- 『交流』できる要素をつくる
『共感』できる要素をつくる
共感できる要素をつくることで、芸術家への興味をもってもらうことができる。
たとえば、あなたが幼い頃に遭遇した嫌な思い出だったり、芸術家を目指そうとして失敗した経験を、どんどん発信してみてほしい。
どんな人でも、失敗や嫌な出来事は経験しているもの。
内容は違っても、そのストーリーは似たようなものなので、それを聞くと「共感」が生まれる。
共感できる相手には「興味」をもつようになる。
興味をもってもらうことができれば、無名な画家でも、絵が上手ではなくても「購入したい」と思ってもらえる。
だってその絵を見る度に、当時の自分を思い出したり「どんな人でも失敗している」と思えて、ヤル気が出てくるからだ。
だから「共感」できる要素をつくることは、とても大切なことである。
『信頼』できる要素をつくる
イメージできていると思うが、『信頼』できると言うことは、多少、絵を売り込んでも購入してもらいやすくなる。
無名の芸術家が作品を買ってもらおうと必死になって「新作出ました!」とSNSやサイトで売り込んでも、そこに信頼関係ができていないので購入されることはない。
SNSで焦って売り込みをする前に、まずは『信頼関係』を築くことが大切である。
『交流』できる要素をつくる
共感されて興味をもってもらい、信頼関係ができたら、あなたとユーザーが直接『交流』できる場所をつくる必要がある。
交流できる場所にはいろいろあり、
- 限定のFacebookグループ
- オンラインサロン
- メルマガ登録
- LINEお友だち登録
- 個展
- オフ会
が思い浮かぶだろう。
遠方で直接会うのが難しい場合は、オンライン(ZOOMなど)で直接話をする企画をしてもいいだろう。
このように『交流』できる場所があれば、ファンに特別感を味わってもらうことができるので効果的である。
『自分』というブランドを高める方法
「自分」と言うブランドを高めるために、最初に決めなければいけないことが「キャラ設定」である。
キャラ設定と聞くと遊びのように思うかもしれないが、このキャラ設定はブランディングをする上でとても重要なももの。
キャラ設定をして、公式サイトやブログ、SNSなどを使って「自分」と言う人物を認知してもらいやすくする。
キャラ設定の参考例
キャラ設定の参考として、みんな大嫌いのお笑い芸人「ノンスタイル井上さん」を思い浮かべてほしい。
誰が見てもカッコいい容姿ではないが、自分で自分を『イケメンでナルシストな芸人キャラ』を設定して成功している。
当然そう言った人を嫌がる人も多いが、SNSでの誹謗中傷もポジティブに変える程の強いメンタルを持っている。
ネガティブなコメントをポジティブに変えてリツイートしたり、カッコつけている自撮り写真を公開したり。
それを続けていることで『ブサ男芸人=ノンスタイル井上さん』と認知されるようになっていった。
当然ファンも多く、SNSのポジティブ発信がスーパーポジティブ発言すぎて「かっこいい」と言われることもある。
こうしてキャラを設定し、とことんそのキャラを貫き通すことで、『ノンスタイル井上』というブランドの価値を高めている。
芸術家のファンを増やす方法
芸術家として、ファンを増やすことは簡単なことではなだろう。
先程の「キャラ設定」をした上で、あなたがどんな想いで芸術活動をしているのか、これまでにどんな人生を歩んできたのか。
と言うような、芸術活動の背景(過程)をブログやSNSで発信して、あなたへの関心を集めること。
共感してくれる人がどんどん集まれば、商品やサービスを購入に繋げることができる。
共感してもらうためには、作品に対する想いや制作風景を発信したり、共感してくれる人と直接交流できるイベントを開催するなどして、信頼関係を深めていくことが大切である。
作品購入につなげる方法
SNSで作品を購入につなげるためによく見る投稿が、
「今ならこちらの作品を割引で販売します」
「新作ができました作品購入はこちら」
と言うような売り込み投稿。
ある程度の知名度があって信頼関係ができている芸術家なら、購入してもらえるかもしれない。
だけど、無名の芸術家がSNSでそういった売込をしてしまうと、その投稿が相手へのストレスになってフォロー解除される恐れがある。
なぜなら、現在のSNSを見ていると広告が流れてくることが多く、SNSの利用ユーザーは流れてくる広告にウンザリしているからだ。
そこへあなたが「作品を購入してください」と投稿したら、あなたを知らない人は「なんだやだの売り込みか」とスルーしてしまいます。
なので、作品購入に繋げる一番の近道は、あなたのファンを増やして、その中でセールスをする方が購入率は上がる。
ファンになると言うことは、あなたの進める商品にも興味があるため、見込み客と言うことになる。
売り込みの失敗例
僕も以前は何の知識もなく、以下のようにただ自分のデジタルアートをSNSで売り込んでいた。
部屋に合わせて縦にも横にも装飾できる360°の作品ポスターを追加しました。 #art #purinto #dejitaru https://t.co/gJ9uoWb9ps pic.twitter.com/D9Sg9uD5Wf
— デジタル画家リョウ (@ryo_designer) May 2, 2019
だけど購入につなげることはできず、それどころかフォロワーが減っていった。
この時の僕の状況を分析してみると、以下のようなことが原因だと考えられる。
- デジタル画家リョウの知名度がない
- デジタルアートを知らない
- なぜデジタルアートを作っているのか発信していない
- 何をしている人なのかわからない
僕のSNSを見たユーザーからすれば、
「誰が何のために何の作品をつくっているのか知らないから別に興味がない」
と言うことである。
SNSの投稿は、興味をもってもらうために使う方が効果がある。
「なぜ自分がその作品を制作しているのか」
「これまでにどんな人生を歩んできたのか」
「これからどんな芸術人生を目指しているのか」
それを発信して興味をもってもらい「あなたの作品を購入したい!」と思ってもらえるような仕組みをつくることが重要である。
この仕組みをつくるために、Webマーケティングの知識が必要になる。
芸術人生を歩いている人の考え方
僕の周りにはクリエイティブな仕事をしている人が多く、その人たちと話をしていると、芸術活動の参考になることがある。
その中には、作品が高く評価されて新作を出すたびに購入されている芸術家もいる。
そこで芸術活動の秘訣を聞いてみると、次のような答えが返ってきた。
「優れた作品をつくるからその作品の価値が上がるわけじゃなく、作品の見えない部分のストーリーに興味をもつから、その作品の価値が上がるんだよ」
つまり、「ブランディングをしなければいけない」と言うことである。
成功した人を参考にする
あなたも知っている有名人で言えば、キングコングの西野亮廣さんが成功者として参考になるだろう。
僕は本人とは知り合いでもなければつながりもないが、彼がクリエーターになってから、テレビで聞く言葉や芸術活動について話している内容にはとても共感できる。
たまには「それはあなただから言えることだ!」と思う時もあるが、大半は共感できる。
彼には、人の心を動かせるほどのブランディング力がある。
自分のこれまでの人生について話したり、自分のもっている価値観について、わかりやすくメディアで発信している。
こうして考えるとプロの芸術家を目指すなら、あなたの価値観を発信していくことも重要ではないだろうか。
そこに共感できる人が増えれば、あなたがつくるアート作品も高く評価されるだろう。
本気でやりたいなら努力はできる
自分が本気で「芸術家になりたい!」と思うなら、どんなことも我慢できるし努力ができる。
だけど、どんな夢でもそこに向かうためには、それなりに時間は掛かるもの。
焦らずに少しずつ進めていくことが、理想の芸術人生にたどり着く一番の近道である。
本気で芸術家を目指すなら、周りの意見を受け入れずに、あなた自身で努力をすれば「共感」してくれる人は必ず集まってくる。
失敗は当たり前
もちろん失敗することもあるだろう。
だけど、その失敗は決して恥ずかしいことではない。
失敗をしたから学べたことで、もし失敗をしなかったら、知識を向上させることができなかっただろう。
本当にやりたいことなら、努力して失敗して改善しながら目標へ向かうことが大切だ。
このような話をすると、
「今の年齢を考えるともう失敗なんてできない!」
「自分には時間が無いんだ!」
と、言ってくる人がいる。
家族がいて、家族のことを考えなくてはいけないこともわかる。
恋人が不安そうで「この人は大丈夫かなぁ」と思われていないかと考えてしまう気持ちもわかる。
もし「安定」を求めるなら芸術家を辞めて、今すぐ企業へ就職することをオススメする。
だけど芸術家、いやフリーランスになって自由に仕事をしたいのなら、周りの目を気にしていては成長しない。
失敗してもポジティブに考えて改善すればいい。
諦めずに続けていくことがフリーランスの強さになって、それがどんどん成長していく。
最後に
芸術家の道だけではないが、どんな仕事であっても一流を目指そうと思うのなら、険しい道を通る覚悟がいる。
芸術家の道も同じである。
センスがあっても、そのアート作品が評価されないことはよくある。
アート作品の評価をあげたいのであれば芸術家として、どんな想いでアート作品をつくっているのかを発信していくこと。
そのためには、
- セルフブランディング
- 文章ライティングのスキル
- Web構築のスキル
- 人の心理についての知識
を学ぶ努力をしなければならない。
焦らずに少しずつ身につけていけば、必ず理想の芸術人生を歩くことができる。
「芸術家になるには美大を卒業する必要がある」と思い込んでいる人もいるが、独学でも芸術家になる道はある。

2020.04.27
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